生涯活躍のまち(日本版CCRC)②はじまりの頃(2015年)
今回は「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」がはじまった頃を回顧。
2015年当時の説明資料がコチラ。
日本版CCRCとはこの資料にも記載のあるとおり、当時の説明では
CCRC (Continuing Care Retirement Community) とは・・・
米国では、高齢者が移り住み、健康時から介護・医療が必要となる時期まで継続的なケアや生活支援サービス等を受けながら生涯学習や社会活動等に参加するような共同体(CCRC)が約2,000か所存在
筆者は現地を視察したことがないので、あくまで又聞きやネット検索等の域を出ませんが、自分のなりの解釈としては「米国のCCRC=富裕層を対象とした高齢者コミュニティ」というのが現時点での結論ですね。
なぜなら、米国では日本のような「国民皆保険・皆年金制度」は存在しないため、高齢化に伴うサービスを受けようとした場合には、おのずと経済的格差が影響してくることになります。
言葉を選ばずに言うならば「お金があれば、充実した介護サービスが受けられる」ということになります。
(中国の場合、「お金がソコソコあっても、まともな介護サービスが受けられない」という何とも悲劇的な状況にあります)
逆に、日本の場合、名だたる企業の経営者や資産家であったとしても、病気になれば公的医療保険を利用し、介護が必要になれば介護保険を活用して介護サービスを受けることになります。
もちろん、負担する保険料の額に多少の差はありますが、保険給付に差異はありません。
両国の間には、こうした根本的な違いがある中で、このCCRCを日本版にアレンジしようというのは大変なことです。
事実、日本版CCRC構想有識者会議では各委員から様々な提言がなされたものの、最終報告では以下のような文言で落ち着く結果となっています。
日本版CCRC「生涯活躍のまち」とは(日本版CCRC構想有識者会議:最終報告より)
東京圏をはじめとする地域の高齢者が、希望に応じ地方や「まちなか」に移り住み、地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができるような地域づくり」を目指すもの
比べてみると一目瞭然、米国のCCRCとはずいぶん表現が変わっていますね。
もっとも、これはある意味、仕方のないことです。両国の状況は違いすぎますし、米国の仕組みが最良とは言えませんので。
ただ、当初から「表現が抽象的で分かりにくい」という指摘はありましたね。
北九州市でも、この時点では「首都圏方面からアクティブシニアの移住を促進することで、地域経済やコミュニティの活性化に繋げる」ことを政策の効果として掲げていました。
次回、「当時の北九州市を取り巻く現状と課題」へとつづく・・・