2020年のふるさと納税を早くも展望(勝手な予想も)

本日、2020年を迎えました。ついに記念すべき東京五輪の年となりましたね。

昨日(大晦日)、テレビを観ながら、ふるさと納税を駆け込みで行った方も多かったのではないでしょうか。例年、この最終3日間で急激に寄付額が増える傾向にありますので(笑)

まだ正確な2019年実績は分かりませんが、おそらく2018年よりも寄付額は伸びているでしょう。ご存じのとおり、2019年は規制が厳格化(3割返礼など)されたワケですが、だからと言ってふるさと納税の勢いが止まることはありません。なぜでしょうか?

それは、一度寄付をした納税者にとって、お得度が落ちたからと言って「寄附しない」という選択は単純に「損をする」という発想に繋がるため、寄付経験者が離脱することは考えにくい。加えて、まだまだふるさと納税をしていない方々がたくさん存在する。そう、この市場はまだまだポテンシャルのある市場なんです。だから、ポータルサイトが年末になってバンバンTVのCMを流していますよね。あれは「市場を取りに行く」という姿勢を現れです。

ちなみに、Googleで「ふるさと納税」と検索してみると、やはり老舗かつ最大手の「ふるさとチョイス」が一番上に表示されます。

その次に表示されるのが「さとふる」、そのあと総務省のサイトを挟んで「ふるなび」、「楽天ふるさと納税」と続きます。この「ふるなび」の伸びは2019年の大きな特徴のひとつですね。よく目にしていると思いますが、そのCM攻勢たるや凄まじいです。また、100億円キャンペーンも話題になりましたが、2018年の某市の動きを彷彿とさせる動きでしたね。

対照的なのは、楽天です。元々、ふるさと納税に関しては、楽天市場の延長線上の取組みとの姿勢を崩していません。楽天市場の市場規模と比較したら、ふるさと納税は大した規模ではないというのも、こうした判断の一因になっているようです。なので、そこまでSEOにも力を入れていないと思われ、それが検索順位にも如実に表れているのではないでしょうか。

ただ、今後のふるさと納税を展望する上でのヒントがここにもありそうです。その辺りの話は後ほど。

ふるさと納税に関しては、以前から「これからは体験型などのコト消費に注目すべき」とか「もっと寄付者の意向に沿った使われ方をすべき」といった意見がありますよね。ふるさと納税の担当課長だった筆者としては、どちらも大きく拡がることはないと思っています。

まず、コト消費については、そもそも地場産品のお得度をベースとして急速に広まってきた制度なので、これが主役でなくなることはありません。家計支出の中で旅行やレジャーなどのコト消費の割合が大きくないことを考えれば、その理屈は一目瞭然です。

続いて、寄付目的に沿った使い道というのも、自治体行政の仕組みそのものから言って難しいものがあります。これは民間企業の方々には理解してもらいにくいのですが、自治体の場合、そもそも歳入(収入)と歳出(支出)は財布が別という扱いです。民間企業のように、売上げが大きく伸びたので、臨機応変に支出の予算を増額して更に売上げを伸ばしていこうという動きは、そもそも想定されていないのです。これを読んでもよく分かってもらえないかも知れませんが。。。なので、「役所はおカネを使うことばかり考えて・・・」という批判を受けやすいのです。ふるさと納税の場合、予算を組む段階ではあくまで一般寄附という位置づけなので、例えば「子育てに使ってほしい」という要望の寄付が増えたからと言って、すぐに保育所増設の予算に回すといったことは、現実的には出来ない仕組みとなっているのです。

こうした状況を踏まえて、2020年以降のふるさと納税について、勝手に考察していきたい。

まず大きな変化が予想されるのが、大手ポータルサイトの自治体との契約の見直し。既に自治体側には告知されているようですが、寄付額に対しての手数料が一律で引き上げられるとのこと。これが「寄付募集にかかる経費を寄付額の50%以内にしなければいけない」という規制の影響を受け、30%上限の返礼率を確保できない自治体が続出することが想定されている。そのため、返礼品、送料、募集経費、PR経費の合計を50%に収めつつ、いかに魅力的な返礼率の返礼品を揃えることが出来るか、が勝負の分かれ目となってきそうだ。

次に、この50%上限規制の影響で、無秩序にターゲティング広告などのPRを行えなくなった現在、SNSなどを活用したリピーター対策が今後ますます重要になってくるものと思われる。元々、ふるさと納税は「その地域への愛着」をベースとしているため、一般の経済活動と比べると寄付者との心理的な繋がりを醸成しやすい。今後は「寄附してもらって終わり」の関係ではなく、「より地域に愛着を深めてもらいつつ、継続的に寄附してもらえる関係づくり」へとシフトしていく必要がある。そのためには、ふるさと納税を含む関係人口づくりに向けた戦略の構築、実行に加え、継続したPDCAの取組みが極めて重要となってくるだろう。

最後に、ふるさと納税の本質的なゴールに言及したい。この制度によって、地域の特色ある産品に光が当たったことは間違いない。同時に、都市に住む人々にとっての地方との距離感を縮めたことも事実だろう。ただ、ご存じのとおり、ふるさと納税はお得度という観点で考えると「限度額」が決まっている。現状のままだと「寄附して終わり」となっているケースが多く、これはあまりにも勿体ないと言わざるを得ない。そろそろ、ふるさと納税を入口とした地場産品の振興に真剣に取り組むべきではないだろうか。ふるさと納税で試しに頼んでみて、気に入ってくれた方々を逃がさず顧客にするという流れを組むことは難しくないはずだ。そのためには、第一に役所内の縦割りを排し、ともに試行錯誤を進めながら、ふるさと納税担当課から産業振興担当課まで一体となって取り組むことを目指してもらいたい。

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