新型コロナウィルスが日本経済に与える深刻なダメージ
今日は2月28日、日本で新型コロナウィルスの脅威が囁かれ始めてから約1ヶ月。当時、ここまでダメージが大きくなると考えていた人は多くなかっただろう。
いや、今でも「そこまで大げさに考えなくても」とか「暖かくなったら収束するよ」なんて悠長なことを言っている人も少なくない。果たして本当にそうだろうか。。。
筆者は、2月に入った時点で「これはマズイ」と感じていた。その感覚は日に日に増していき、先週(2/17の週)の時点で確信に変わった。「日本経済、ここが転換点になる」と。
巷では全国の公立小中高が3/2から休校になるという話で大騒ぎだが、これはあくまで序章に過ぎない。これから起こる「不景気の波」は超ド級のものになる可能性が高いからだ。
実際、現時点でも経済にかなりの影響が出ているのは明らかだ。筆者は東京をはじめ、各地に出張することが多いが、ホテルの価格は明らかに下がっている。飛行機も以前ほどの混み具合ではないし、空港内の人の流れも以前と比べると明らかに閑散としている。
感染が拡大していることで、街の賑わいも大きく落ち込んでいる。昨夜は汐留にある中華料理店で取引先と食事をしたが、店内は3組ほどしか居らず、しかも2回転目はなく、店の責任者もお手上げといった印象だった。店員さんに聞いてみると、「近くにある大手広告代理店での感染者発表や在宅ワークの導入などで来店客数は半分以下じゃないかな」とのこと。大人数の予約ほどキャンセルになる確率が高いとも言っていた。
知人が2月11日に銀座に行ったときの写真を見せてもらったが、地方の中心市街地でも見受けられないほどの人気の無さで「これがホントに銀座??」と目を疑うほどだった。それほど、このウィルスは怖がられているのだ。その傾向は年齢が高くなるほど強い。
日本経済にとっては、消費増税で景気が冷え込む中、最悪のタイミングで襲いかかってきたモンスター級のウィルス。株価も3日連続で大幅に下げているが、この記事を執筆している時点でNYダウが500ドル超の下げなので、このまま推移すれば明日(2/28)も日経平均は大幅に下げることになると予想される。なぜなら反転させるような要素が見当たらないからだ。
コロナウィルス問題を東日本大震災のように語る人もいるが、双方の間で大きく異なるのは「復興」というキーワードが存在しないことだ。つまり、震災の場合は時間の経過とともに「復興」という新たな需要が発生するが、このウィルス問題は損失しかない。特需など想定できないので、経済にとってはマイナスの要素しかないと言える。
また、リーマンショックと比べると、たしかに類似点がある。リーマンショックの場合もウィルスのような不良債権がどこに埋まっているのか分からないという恐怖から「売りが売りを呼ぶ」展開になったワケで、今回のコロナウィルスも誰が感染しているのか見当がつかないという点では非常によく似ている。
でも、決定的に違うのは、リーマンショックは金融市場の話だが、コロナウィルス問題は一般社会の話ということ。つまり、影響が及ぶ範囲が桁違いに異なるのだ。しかも、金融問題では死者は発生しないが、コロナウィルスでは実際に亡くなった方がいるので、まさしくお金の問題ではないと言える。しかも、まだ有効な薬がないというのも恐怖心に拍車をかけることになる。
政府が後手後手の対応で、3月いっぱいのイベント自粛、公立学校の休校を決めたが、正直言って「遅きに失した」と言わざるを得ない。筆者も上海駐在経験があるので、中国事情には詳しいほうだと思うが、「なぜ春節を迎える前に入国制限に踏み込まなかったのか」と思わざるを得ない。そこに、政治的な配慮がなかったのか・・・との疑念は拭い去れない。
おそらく、第4四半期(1月~3月)の企業業績は軒並みガタガタになるだろう。それは地方経済にも大きな影を落とすことになる。おそらく、もともと日本経済が抱えていた少子高齢化という「縮小に向かう経済の儚さ」にいきなり向き合わざるを得なくなるだろう。
多方面に渡って影響が予想されるコロナウィルス問題、今後シリーズで言及していきたい。