生涯活躍のまち(日本版CCRC)⑤基本コンセプトを固める(2016年)

ちょっと中断しましたが、CCRCシリーズを再開。

今回は、2016年当時の「基本コンセプトを固める」。

2015~2016年当時、CCRCの検討を進めるに当たって、北九州市が最初に行ったのは「移住ニーズ調査」。

まずは、ニーズを調査・分析した上で施策を立案しようという極めてシンプルな手法。

ただ、どのように調査するのか、前例がないだけに困っちゃいましたね。。。

結局、委託先のシンクタンクと議論を重ねた結果、WEB調査会社のモニターを活用して「移住全般」「北九州市への移住」という2本立てで傾向を見ることに。

調査項目も多岐にわたっていましたが、キモは調査対象者ですね。

当たり前のことですが、WEB調査会社に登録しているモニターには「北九州市」という色が付いていません。

でも、こちらとしては、何とか北九州市にゆかりのある人をベースとしたデータが欲しいワケです。

そこで辿り着いたのが「北九州市に何らかのゆかりがある人」以外は対象外にするということ。これは、最初の設問で対象外となるモニターが続出するということを意味しますが、こういった人たちは次の設問に進めないため、単価自体はかなり抑えられます。

なので、こうしたロスを臆することなく調査してみようということでスタートすることに。

結果的には、2回に分けて、20代後半~50代の北九州市に縁のある3,000名のデータを収集することに成功。アンケートの発送数は総計で25万を超えましたが・・・

おそらく、政策立案に当たって、ここまで実態調査を行った自治体はないでしょうね。

このデータ、基本コンセプトを固めるに当たって、かなり役立ちました。

今でも時々、読み返すことがあるくらいなので。

詳細は割愛しますが、このニーズ調査で分かったことは、地方移住のニーズは全世代にわたって根強くある、移住形態(二地域居住など)は多様、地方移住では不動産購入意欲が高い、意外なほど「住まい」情報が欲しいというニーズが高い、といったこと等。

かなり内容が濃いです!

ある程度の規模の都市であれば、こういった調査を事前に行うことをお薦めしますね。

この移住ニーズ調査をもとに、基本的な考え方を以下のように整理。

生涯活躍のまち基本的な考え方

移住希望者の多様なニーズに対して、政令指定都市として有する多様な強みを生かして対応していこうということ。

実際「住まい」「しごと」「コミュニティ」など、たくさんの要望が寄せられます。

シニアであれば、先々の医療・介護といった面での不安も口にされます。

そういったことに対応するには、ある程度の都市規模はメリットになり得ます。

だからと言って、小さな町で出来ないというわけでもありません。

繰り返しになりますが、移住希望者のニーズは多種多様。

それぞれの街の強み・魅力を磨き、発信することで、弱みを補うことができると考えます。

この時点で辿り着いたコンセプトが・・・

既存ストックの活用 + 官民連携の推進 ⇒ 大都市型モデルの構築を目指す

というもの。

ちなみに、この既存ストックには、民間主導の新規事業も含みます。

要するに、市役所が関与していないものは既存ストックに含むということ。

「生涯活躍のまち」に関しては、ハードに対しての助成はありませんからね。

国に対する過度な期待は、そもそも禁物なんです。

官民連携の推進については、市全体での施策とモデルエリアでの施策の2本立てに。

生涯活躍のまち推進

北九州市では「住むなら北九州市!応援団体登録制度」を設けていますからね。

この登録団体と一緒に、市全体の施策を自然な形で展開していくことがひとつ。

もうひとつは、地域再生計画で設定した6つのモデルエリアにおいて、中核となる事業者と連携しながら、その土地ならではのモデルを形成していこうというもの。

どちらも簡単ではないですが、あくまでも「自然体」が目指すところ。

そもそも、「地域の課題は、地域で解決していく」ことが重要ですから。

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